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苦しい日々
<一人で抱えきれなくなるまで>

毎日が地獄のようだった。何とも言えない疲労と圧迫感が私を襲っていた。子供が寝たら「掃除をしなくては。」「ご飯を作らなければ。」すべてhave toなのだ。例えば一日くらい掃除をしなくてもどうって事ないし、ご飯か作れなかったらお弁当だっていいのに「できなかった」と自分を責めてしまうのだ。そうやって自分を責めるのが嫌で、毎日一つ残らずこなしてしまい疲れ切って思うように出来ないこともしばしば。夫の何気ない「今日、掃除した?」とか、母の「野菜食べてる?」という言葉に過剰に反応して「私は、奥さん業ができてない」と考えるようになってしまった。

サブリナが寝たら戦争だ。洗濯、掃除、オムツは布を使っていたからもう一度洗濯。お腹を空かせた娘が泣けばおっぱいをあげる。お昼寝を始めたら急いで夕食を作るのだが娘が途中で起きると「なんで寝てないのよ!寝てなさいよ!!」と焦る。それを見た友達が「散歩に出掛けてみたら?赤ちゃんにも良いし気分転換になるんじゃない?」とアドバイスをくれたのだがまたhave toが増えて毎日必ず散歩に出掛けるようになる。雨が降ると「今日は一つ仕事が減った。」とホッとする。もう、完全に悪循環なのだ。

市の保健福祉課、親や友達に相談したりもした。「一時のことだから」「散歩したら?」「こんなに可愛い赤ちゃんなのに、なんで?」返事はいつも決まっていた。
私は頭痛がひどくなり、内科に行くと「疲れですね。」と言われ薬を飲んだりビタミン剤の注射に通った。少しでも負担を軽くするために布オムツを紙オムツに切り替え、1ヶ月間実家に戻ったりもしたが自宅に帰れば前と少しも変わらなかった。私は自分の負担を軽くすることに罪悪感を感じ、押しつぶされそうな毎日。

妊娠中通っていた産院のヨガ教室の友達から「久しぶりにみんなで集まらない?」という電話があり気分転換になるのでは?と出掛けてみた。そこで見た光景は私に大きなショックを与えた。口々に「ホント、可愛いよね。この子のおかげで毎日楽しくて仕方がない!」と言うのだ。
私といえば毎日辛くて仕方なく、この子がいなければと思うことだってあるのに・・・。可愛いなんて思う余裕はなく「何でみんなこんなに元気なの?」と思うばかり。私だけポツンと取り残されたようで孤独を感じた。

「私は良いママにもなれてないんだ・・・。」

とはいえ、いくら可愛くないといっても24時間ずっとそう思うわけではなくて、サブリナが時折見せる笑顔は何よりの宝物であることに違いなかった。私が「あぁ、もういい加減・・・」と思うと彼女はニッコリ笑うのだ。その笑顔を見る度「24時間可愛い!」と思えない自分が許せなくなる。
乳児健診でその思いを涙ながらに訴えたが、私を担当した保健婦さんは、肩をポンポンと叩いて「みんなそうやって育児するんだよ。」と言うだけだった。

私は次第に夜眠れなくなり1時間ほどウトウトして2時間起きていたり、突然がばっと飛び起きたりするのだ。同時に日中もぼんやり過ごすことが多くなって無気力になった。

私はいつからこんなになってしまったんだろう。今までどんなことも何とか乗り切ってきたのに。
私はどうなってしまったんだろう。もう限界だ。

そういう思いが強くなってきた頃、出産した時に入会していた「パンパースマザーズクラブ」から子育てレターが届いた。”産後抑鬱症を乗り越える”と題された文章を読んだとき「これだ!!」と確信した。治療を受ければ治るという記述に道が開けた思いだった。早速印刷して夫に相談した。泣きながら話す私に夫は少しびっくりしていたが「病院へ行こう!」と病院を探し始めた。
でもそう簡単に見つかるわけもなく私はもう一度保健婦さんを頼ることにした。電話を取った保健婦さんは「受診したい」と言う私の話に「すぐに行くから、待ってて」とアッという間に来てくれ、「よく電話してくれたね。」そう言われた時ホッとした。「もう一人ではないんだ。」

保健婦さんから病院の紹介を受け、時を同じくして夫は会社の上司から病院を紹介された。こうして私は夫が探してきた病院を受診することになった。保健婦さんとも連絡を取り合いながら、今後の経過を見ていくことになったのだ。

一人で抱えなくても良くなったのだ。12月2日だった。                    2002.5.27

 


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